アドベンチャーズ・フロム・
アナザーワールド

TRPG

Black Cat #25, art by Lee Elias https://digitalcomicmuseum.com/index.php?dlid=6419

冒険に乗り出そう!

きみは新しいロールプレイングゲームを探しているところかな? あるいは、このジャンルが気になっているけれど何時間も費やすのが不安な初心者プレイヤーかもしれないね。『アドベンチャーズ・フロム・アナザーワールド』なら、少しの準備で、お気に入りのSFキャラクターたちと銀河系を探検したり、おしゃべりな大猿の相棒と一緒に悪者と戦ったり、現代を生きる魔女として惚れ薬ベンチャーを展開したりできる。このゲームはいろんなプレイヤーに合う素敵なものを用意している。

『アドベンチャーズ・フロム・アナザーワールド』(AAW) はFateシステムの自由度と描写能力を凝縮した、人気のFate Acceleratedエディションのアレンジだ。このルールブックでは、新しいキャラクターをあっという間に作るやり方と、その場で思い描いたストーリーを即座にサポートするシンプルなシステムについて解説していく。AAWで、今すぐ冒険をはじめよう。

3…2…1…アクション!

Alain DellepianeがLocJAM向けにデザインし、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際ライセンスの下で許諾されています。この作品は、Leonard Balsera Brian Engard、Jeremy Keller、Ryan Macklin、Mike Olson、Clark Valentine、Amanda Valentine、Fred Hicks、Rob Donoghueにより開発、執筆、編集が行われたEvil Hat Productions, LLCの商品『Fate Core System』と『Fate Accelerated』(http://www.faterpg.com/に掲載) に基づいており、クリエイティブ・コモンズ表示3.0非移植ライセンス (http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/) の下で許諾されています。画像はDigital Comic Museumに由来します。これらは米国において著作権の保護期限が終了した書籍や文書から複製されたもので、米国のパブリック・ドメインとされているものです。

まずは準備!

きみが好きなストーリーを思い浮かべてみよう。魔法学校の少年少女が闇の帝王に立ち向かった小説……ドワーフたちが先祖の山をドラゴンから奪い返すために戦った映画……神秘的な力を持つ騎士がクローン軍とともに銀河に広がる悪を打ち倒すアニメ……

どれも最高のストーリーだ。

そんな世界のヒーローに誰もがなれるとしたら?

『アドベンチャーズ・フロム・アナザーワールド』は、友だちとテーブルを囲みつつ危険と興奮と冒険でいっぱいのストーリーを語れるTRPGだ。大人気の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』など、類似のゲームをプレイ済みの人はもちろん、未経験の人も心配無用。このルールブックを読めばすべてわかる。

次のものをそろえよう。

  • 参加者3~5人ゲームマスターは1人、他はプレイヤー。詳細は後ほど説明する。
  • フェイト・ダイス (Fate Dice™) は4個以上必要で、プレイヤーごとに4個が好ましい。特別仕様の6面ダイスでプラス + が2面、マイナス - が2面、無地 0 が2面。これらのダイスは、多くのホビーストアやゲームストアで入手でき、ファッジ・ダイスという元の名称で売られていることも多い。この本ではフェイト・ダイスと呼ぶが、呼び方は自由だ。Evil Hatのフェイト・ダイスはwww.evilhat.comで購入できる。
  • デッキ・オブ・フェイト (Deck of Fate) はフェイト・ダイスの代用品。フェイト・ダイスの確率を模倣したカード・セットで、フェイト・ダイスと同じ方法で使用できるように作られている。デッキ・オブ・フェイトはEvil Hatのページで購入できる。
  • 各プレイヤーにキャラクターシート1枚。シートはwww.evilhat.comでダウンロードできる。
  • 情報カードか、付箋 (メモ用紙でもよい)。
  • フェイト・ポイント用のトークン。ポーカーチップ、ビーズ、コインなど、似たようなものなら何でも使用可。30~40個ほど準備しておこう。

ファッジ・ダイスを無理に使う必要はないので、普通の6面ダイスで代用してもよい。普通のダイスを使用する場合、5と6を + 、1と2を - 、そして3と4を 0 に読み替えよう。

次は、みんなで一緒にストーリーを作りあげるための遊び方を説明しよう。

みんなでストーリーを語り、紡ぐ

さて、友だちとダイス、そして情報カードがそろったら、『アドベンチャーズ・フロム・アナザーワールド』(AAW) を遊ぶ準備はできた。ストーリーを語ってみよう!

「ストーリーを語る」とは?

AAWはストーリーを語るゲームだ。プレイヤーはキャラクターたちを作りあげ、みんなで交代しながら空想上の冒険を語ることで、その動向を追っていく。

『コラの伝説』、『スターウォーズ』、『アベンジャーズ』、『ゼルダの伝説』、『ドクター・フー』、『指輪物語』のような、キャラクターたちが冒険を繰り広げる映画やゲーム、ドラマについて考えてほしい――さあ、そんな物語を仲間と作っていくところを想像してみよう。卓を囲んで、キャラクターたちの行動を決め、それによって変化していくストーリーを。

行動の結果がどうなるか判断できない場合は、ダイスをロールして結果を判断しよう。ロール結果が大きいほど、自分が思ったとおりになる可能性が高くなる。

どうやるの?

まずはどんなストーリーを作りたいのかをはっきりさせよう。興味があるジャンルはファンタジー? SF? それとも現代アドベンチャーだろうか? 好きなドラマやコミック、映画の世界の中でプレイするのだろうか? それとも、オリジナルの世界を創ろうか? 自分のゲームの枠組みを設計するにあたって役に立つアドバイスがほしいなら、www.evilhat.comにて無料で公開されている「Game Creation in Fate Core (Fate Coreでのゲーム製作)」を参照してみよう。

次に、誰がプレイヤーになり、誰がゲームマスターになるのかを決めよう。卓を囲む人のうち、1人を除いた全員はプレイヤーと呼ばれる。各プレイヤーはストーリーの中で1人ずつプレイヤーキャラクター (PC) を演じ、そのキャラクターになりきってどんな行動をするのか決定する。残った1人のことをゲームマスター (GM) という。ゲームに試練を提供し、プレイヤーたちによって演じられていないキャラクター (ノンプレイヤーキャラクターまたはNPCとも) の描写を行うのがGMの役目だ。

誰がGMになるのかを決め、ストーリーのジャンルと枠組みを決めたら、自分のキャラクターを作ろう――これについては次の章で説明する。

「みんなで」ストーリーを語るとは

ストーリーは、GMを含めた卓につくすべてのプレイヤーが一緒に語っていくものだ。自分のキャラクター (GMをしている場合はNPC) の行動を決定する時は、以下の2点を念頭に置こう。

まずは自分のキャラクターになりきり、そのキャラクターならどんな行動をするかよく考えること。お粗末な決断を下すキャラクターを演じるなら、最善策とはいえない決断を下すことも恐れてはいけない。

2点目、そしてとても重要なのが、語られるストーリーを意識することだ。ストーリーをよりよくするにはどんな行動を選べばいいかについて考えよう。どうすればより面白く、ワクワクして、楽しい展開になるだろうか? 他のプレイヤーのキャラクターに輝くチャンスを与えるような選択肢は? そんな答えを出すために、一生懸命頭をひねろう。

自分のキャラクターに間違いを犯させることを恐がらず、自分以外も含めた、卓につくプレイヤー全員がより楽しめるストーリーを生むような行動を選択する――そうすることで、「みんなで」すばらしいストーリーを作りあげることができるのだ。

あなたは『何』になる?

ストーリーの趣向を決定したら、自分のキャラクターの容姿、得意なこと、信条などを設定しよう。

どのようなキャラクターになれる?

プレイすることにした世界観に基づいてキャラクターを作成しよう。少年少女の魔法学校が舞台なら、若き魔法使いになろう! 悪の帝国と宇宙で戦うスペース・パイロットの物語なら、あなたはパイロットだ! 他プレイヤーのキャラクターと絡んだり、協力し合ったりする理由のあるキャラクター設定を考えよう。

キャラクターはどうやって作るの?

早速、アイデアを書き出してみよう。まずは鉛筆と印刷したキャラクター・シートを用意する。または、ノートパソコンやタブレットで編集が可能なPDFファイルを用意してもよい。いずれにしても、必ず書いたり消したりできるものにしよう。

アスペクトの概要

アスペクトとは、キャラクターの核となる特徴を言葉で表したものだ。キーワードや短いフレーズでも、文章でも構わない。(訳注: ストーリーの中で果たす役割に関わる、重要な側面を描く設定要素を考えよう。) キャラクターの人生におけるモットー、特有のクセ、他キャラクターとの関係性、大事な持ち物、所有している装備品など、そのキャラクターにとって大切な要素があてはまる。

キャラクターの性分、スキル、抱えている問題を表すアスペクトを通して、プレイヤーはストーリーの進行を左右できる。また、ゲーム世界の事実を確定するためにもアスペクトを使う。たとえば魔法が存在するかや、頼りになる味方や危険な敵、秘密の組織のあるなしを設定するためにも、アスペクトを使える。

それぞれのキャラクターには、主要コンセプトトラブルのタネを含めた、3~5つのアスペクトを設定する。アスペクトの詳細は「アスペクトとフェイト・ポイント」で説明する。今は、ここまでの概要をつかめれば大丈夫だ。

主要コンセプトを考える

まずはキャラクターの主要コンセプトを決めよう。主要コンセプトは、そのキャラクターが誰なのか、何をするのか、要するに”何者なのか”を一言で表す。設定する時は次の2つを考えるようにしよう。このアスペクトはどのように役に立ち、どのように足を引っ張るのか。よい主要コンセプトはその両方を備えている。

例: 「雲上の飛行船<ニャゴラス号>のネコ船長」、「アンドラール砂漠の太陽の喚び手」、「高度テクノロジー研究機関のエージェント」

トラブルのタネを考える

次は、キャラクターがトラブルに巻き込まれる原因となるトラブルのタネを決めよう。これは、個人の弱点、因縁の敵、重大な責務など、問題を引き起こす要素を指す。

例: 「鋼の暗殺団の狙いは我が命」、「魔法! 事情なんて後で聞けばいいや!」、「弟を守ってやらなきゃ」

異なるアスペクトを加える

さらに、もう1つアスペクトを作る。そのキャラクターの重要なところや興味深い点を考えよう。村一番の力自慢? 強力な伝説の剣の持ち主? もしかしたら、口が災いを呼ぶタイプだったり、とんでもないお金持ちだったりするかもしれない。

(お好みで) 1~2つの追加アスペクトを足す

望むならば、さらに1~2つ、アスペクトを追加できる。他キャラクターやNPCとの関係性を示すアスペクトや、先ほどと同様に、キャラクターの特徴を設定してもよい。

また、追加アスペクトとして“ブランク (空白)”のアスペクトを選んでおき、ゲーム開始後に決定することも可能だ。

名前と外見を決める

キャラクターの容姿を決め、名前を付けよう。

Startling Comics #51, art by Alex Schomburg https://digitalcomicmuseum.com/index.php?dlid=27123

30秒でわかるキャラクターの作り方

  • 2つのアスペクト (主要コンセプトとトラブルのタネ) を書き記す。
  • アスペクトを1つ追加する。
  • 名前を付け、容姿を決める。
  • アプローチを決める。
  • リフレッシュを3に設定する。
  • さらにアスペクトを2つ、スタントを1つまで追加できるが、ゲームを開始してからプレイ中に決定してもよい。

アプローチ

キャラクターのアプローチを決めよう。

キャラクターが課題や目的を成し遂げる方法をアプローチという。どのキャラクターも次の6つのアプローチを有している。

  • かしこさ
  • かっこよさ
  • すばやさ
  • ずるさ
  • 力づよさ
  • 注意深さ

各アプローチはボーナスによって格付けされる。プレイヤーは、ボーナス値+3を1種類のアプローチ、+2を2種類のアプローチ、+1を2種類のアプローチ、+0を1種類のアプローチに割り振る。これらのアプローチは後から成長させることが可能だ。それぞれのアプローチの詳細や使用方法に関しては「ゲームの進め方: 結果・アクション・アプローチ」を参照。

アプローチによって自分のキャラクターをはっきり特徴づけることができる。たとえば次のとおりだ。

  • 暴れん坊: 力づよさ+3、かっこよさ・注意深さ+2、すばやさ・ずるさ+1、かしこさ+0
  • 芸達者: すばやさ+3、かっこよさ・力づよさ+2、かしこさ・注意深さ+1、ずるさ+0
  • トリックスター: かしこさ+3、かっこよさ・ずるさ+2、すばやさ・力づよさ+1、注意深さ+0
  • 守り手: 注意深さ+3、かしこさ・力づよさ+2、すばやさ・ずるさ+1、かっこよさ+0
  • 盗っ人: ずるさ+3、注意深さ・すばやさ+2、かしこさ・かっこよさ+1、力づよさ+0
  • 向こう見ずな剣士: かっこよさ+3、かしこさ・すばやさ+2、ずるさ・力づよさ+1、注意深さ+0

格付け表

AAWでは数字を使って、キャラクターのアプローチ、ダイスロールの結果、各処理の難易度などの度合いを測る。

+8 SSS
+7 SS
+6 S
+5 AAA
+4 AA
+3 A
+2 B
+1 C (標準)
0 D
-1 E
-2 F

スタントとリフレッシュについて

スタントは、特定のアプローチを有利にしてくれる特徴だ。たいていは事前に設定した状況下でのみ、そのアプローチを用いたアクションに対してボーナスを得ることができる (ほとんどの場合+2) (訳注: たとえば”スナイピング”というスタントを考えるなら、”銃で遠くから敵を狙う”という状況で、”注意深い”アプローチを使って攻撃をする時にボーナスを得るように設定する。スタントに関しては後述の「スタント」で詳しく説明する)。何か1つのスタントを選択して始めても、何も選ばずに始めてゲームの途中で追加してもよい。キャラクターが成長した時に、後から追加でスタントを選ぶことも可能。

リフレッシュは、各セッション (参加者が集まる1回分のプレイのこと。通常2~4時間) の開始時に有するフェイト・ポイントの初期値で、基本的に3ポイントだ。ただし、前回のセッションで未使用のフェイト・ポイントがリフレッシュを上回っている場合は、その値で今回のセッションを始める。リフレッシュの値は4つ目以降のスタントを選ぶ時に1ポイントずつ減っていく (最初の3つのスタントはリフレッシュを消費しない)。キャラクターが成長すると、リフレッシュを増やす機会が与えられる。リフレッシュが1ポイントを下回ることはない。

スタントの個数は?

AAWは基本的にスタントを1つ選んだ状態でゲームを始めることを推奨している。

ただし、Fateシリーズを一度も遊んだことがない場合は、少し遊んでからの方がスタントを選びやすいだろう。ゲームに触れた後の方が、使いやすいスタントのイメージが湧いてくるからだ。最初のセッションの途中か、そのセッションの後にスタントを追加してみよう。

一方Fateシリーズ経験者ならば、『Fate Core』のようにリフレッシュ消費なしでスタントを3つまで選ぶルールを知っているだろう。だとしても、参加者内で経験が一番浅い人に合わせてゲームを進めることをおすすめする。たとえば、参加者の中に始めたての人がいて、その人が開始時にスタントを1つしか選ばなかった時は、他の参加者も同様に1つだけ選んで始めるということだ。もし参加者全員がやりこんでいて、強いキャラクターでゲームを始めたいならば、最初から3つすべてのスタントを選んでも構わない。

ゲームの進め方:
結果・アクション・アプローチ

いよいよ何かやってみよう。走行中の列車から別の車両に飛び移らなければならない時、どうしても手に入れたい呪文を広い書庫から見つけ出さなければならない時、あるいは、要塞に忍び込むために衛兵の気をそらさなければならない時――その結果はどうやって決まるのか?

30秒でわかるアクションの流れ

  1. キャラクターの行動を描写する。行動を妨害する人物や物がないかを確認する。

  2. キャラクターの行うアクションを決める。優位を作る、克服する、攻撃する、防衛するのいずれかだ。

  3. アプローチを決める。

  4. ダイスをロールして、アプローチのボーナスを加算する。

  5. アスペクトを使ってロール結果を修正するか決める。

  6. いかなる結果がもたらされたかを考える。

まず、自分のキャラクターが何をしようとしているのか語って描写するところから始めよう。キャラクターのアスペクトは何ができるかの指針になる。魔法を使えるというアスペクトがあるなら、呪文を詠唱してみよう。剣士というアスペクトを持っているなら、剣を抜いて振りかぶってみよう。このようなストーリーを細かく描写することで、判定や結果にさらなる効果があるわけではない。魔法も剣も、フェイト・ポイントを1消費して合致したアスペクトを発動しなければ、あなたは自分の剣からも魔法からもボーナスを得られないからだ。それでもたいていは、アスペクトでストーリーに変化を起こせるというだけで十分な意味がある!

アクションが成功したかどうかを判定するには? 難しくもなく、妨害しようとする者もいないアクションならば、ふつうは単に成功する。ただし、失敗によりストーリーの面白みが増したり、何か予期せぬことが起こったりしそうな場合は、ダイスの出番だ。

ダイスまたはカード

結果の判定はランダムな数字の生成によって行う。方法は2つあり、4つのフェイト・ダイスをロールするか、デッキ・オブ・フェイトからカードを引くかして、数字を決める。

フェイト・ダイス: 元々の用途にちなんでファッジ・ダイスと呼ばれることもあり、結果を判定する方法の1つだ。フェイト・ダイスは常に4つ同時にロールする。ダイスのロール結果は +  0 、または - のいずれかで、4つのダイスロール結果を合計して数値を求める。

例:
 - ,  + ,  0 ,  +  = +1
 + ,  - ,  0 ,  0  = 0
 + ,  + ,  + ,  -  = +2
 - ,  0 ,  0 ,  0  = -1

デッキ・オブ・フェイト: フェイト・ダイスの統計的ばらつきを模したカードデッキ。ダイスの代わりに、このカードを使うこともできる。どちらでも問題なく機能する。

このルールブックはフェイト・ダイスの使用を想定して書かれているが、2つのうち好きな方法を使って構わない。”ダイスをロールする”という指示は、”デッキからカードを引く”と読み替えられる。

結果

ダイスをロールしたら、アプローチ・ボーナス (後で説明する) と、アスペクトやスタントによるボーナスを加算する。合計値を、固有の難易度かGMによるNPCのロール結果と比較する。比較に基づいて、結果は次の4通りになる。

  • 失敗: 自分の合計値が相手の合計値より低い。
  • 引き分け: 自分の合計値が相手の合計値と同じ。
  • 成功: 自分の合計値が相手の合計値より高い。
  • 会心の成功: 自分の合計値が相手の合計値より高く、その差が3ポイント以上。

結果についての説明が終わったところで、次はアクションと結果の関わりについて説明しよう。

アクション

自分のキャラクターが何をしたいかを説明して、うまくいかない可能性があることになったら、次はそれがどのタイプのアクションにあてはまるのかを考えよう。ゲーム内のあらゆる行動は、これから説明する4つの基本アクションに分類される。

優位を作る

自分や仲間に役立つために取る行動は優位を作る。一呼吸置いてプロトン・ブラスターの照準を注意深く合わせたり、学校の図書館で数時間かけて調べものをしたり、襲いかかってきた悪党をつまずかせたり――これらはすべて”優位を作る”とみなされる。アクションの対象は、それを阻もうと防衛のアクションを取ってくる場合もある。優位には、次の3種がある。

  • ”敵機の後ろを取った”、”転倒”、”暴徒化した群衆”などの新しい状況アスペクトを引き起こす。
  • 既存の状況アスペクト、または自分がまだ知らない、他のキャラクターが持つアスペクトを発見する。
  • 既存のアスペクトを利用する。

新しいアスペクトを作ろうとする、または既存のアスペクトを発見しようとする場合:

  • 失敗した場合: アスペクトを作ったり発見したりできない。もしくはできるが、相手がフェイト・ポイントを消費せずそのアスペクトを発動できる。自分が作るもしくは発見したアスペクトで他の者が優位を得られる場合 (たとえばでこぼこの地形) は、後者が合うだろう。場合によっては、自分以外のキャラクターにアスペクトの恩恵があると示すために、アスペクトを言い換える必要があるだろう――そのアスペクトをタダで発動できる人にとって一番筋が通る形に調整すること。自分も同じアスペクトを発動することはできるが、その時にはフェイト・ポイントを1消費せねばならない。
  • 引き分けの場合: 新しくアスペクトを作る場合は、ブーストを1つ得る。ブーストは使い切りのアスペクトだ。内容を説明してフェイト・ポイントを消費せずに1回発動させる。その後そのブーストは消失する。既存のアスペクトを発見しようとしていた場合は、成功となる (次の成功の項目を参照)。
  • 成功した場合: アスペクトを作るか発見する。さらに自分または味方1人がフェイト・ポイントを消費せずにそのアスペクトを1回発動できる。情報カードか付箋にアスペクトを書き、テーブルに貼っておく。
  • 会心の成功の場合: アスペクトを作るか発見する。さらに自分または味方1人がフェイト・ポイントを消費せずにそのアスペクトを2回発動できる。通常、同じアスペクトを同一ロール内で2回発動することはできないが、この場合は例外だ。会心の成功は大きなチャンスとなる。

すでに知っているアスペクトを有利に使おうとする場合:

  • 失敗した場合: そのアスペクトから追加の恩恵は得られない。望むならこの後もこのアスペクトは、通常通りにフェイト・ポイントを1消費すれば発動できる。
  • 引き分けもしくは成功の場合: そのアスペクトをフェイト・ポイントを消費することなく、自分が1回、あるいは味方1人が後で1回、発動することができる。目印として、アスペクトを書いたカードにチェック欄を用意して、発動した場合はチェックを入れるとよい。
  • 会心の成功の場合: フェイト・ポイントを消費せずにアスペクトを2回発動できる。味方に発動権を譲ることもできる。

30秒でわかるアクションと結果

優位を作る (アスペクトを作る/発見する)

失敗: アスペクトを作ったり発見したりできない。または、できるが、相手がフェイト・ポイントを消費することなくアスペクトを発動する。

引き分け: 新しいアスペクトを作る場合はブーストを1つ得る。既存のアスペクトを発見する場合は成功とみなす。

成功: アスペクトを作るか発見し、フェイト・ポイントを消費することなくアスペクトを1回発動できる。

会心の成功: アスペクトを作るか発見し、フェイト・ポイントを消費することなくアスペクトを2回発動できる。

優位を作る (すでに知っているアスペクトに対して)

失敗: 追加の恩恵なし。

引き分け: フェイト・ポイントを消費することなく1回アスペクトを発動できる。

成功: フェイト・ポイントを消費することなく1回アスペクトを発動できる。

会心の成功: フェイト・ポイントを消費することなく2回アスペクトを発動できる。

克服

失敗: 失敗、もしくは大きな代償と引きかえに成功する。

引き分け: 小さな代償と引きかえに成功する。

成功: 意図した目標を達成する。

会心の成功: 意図した目標を達成し、ブーストを1つ得る。

攻撃

失敗: 何も起きない。

引き分け: 対象にダメージは与えられないが、ブーストを1つ得る。

成功: 攻撃が成功し対象にダメージを与える。

会心の成功: 攻撃が成功し対象にダメージを与える。その際に、与えるダメージを1軽減してブーストを1つ得てもよい。

防衛

失敗: 相手がアクションに成功し、自分はその効果を受ける。

引き分け: 相手のアクションの描写をよく調べて、何が起こるのか確認する。

成功: 相手の望む結果を阻むことができる。

会心の成功: 相手の望む結果を阻み、自分はブーストを1つ得る。

克服

錠をこじ開ける、手錠を外す、崖の上を飛び越える、宇宙船で小惑星間を飛ぶといったように、ある障害を乗り越えなければならない場合は、克服のアクションを取る。不利な状況アスペクトを変えたり覆したりするアクションは、通常、克服アクションとなる。これについては「アスペクトとフェイト・ポイント」のパートで詳しく説明する。場合によっては、アクションの対象が、あなたの“克服“を阻止するため、“防衛”のアクションを行なう機会を得ることもある。

  • 失敗の場合: 難しい選択を迫られる。単に失敗したとすることもできる――ドアの鍵は開かず、あなたと出口との間に立った悪者は動かず、敵の宇宙船の尾行を振り切ることはできない。または、成功したものの大きな代償を支払う羽目になるということも選べる。持っていた大切なものを落としてしまったり、傷を負ったりすることになるだろう。GMは、プレイヤーが適切な代償を決めるのを助ける。
  • 引き分けの場合: 目標を達成するが、小さな代償を支払う。GMは何か1つ障害を導入してもいいし、厳しい選択 (友人を1人だけ救えるが、あとの人は見捨てることになる) や、何か予想外の展開を用意してもよい。その他のアイデアについては、『Fate Core』の「Running the Game (ゲームの運用)」にある「Succeed at a Cost (成功と代償)」を参照。
  • 成功の場合: 意図していた目標を達成する。ドアの鍵を開いたり、道を邪魔していた悪者を回避したり、あなたを追っていたエイリアンの宇宙船をなんとかまくことにも成功する。
  • 会心の成功の場合: 上記の成功に加えて、ブーストを1つ得る。

攻撃

肉体的か精神的かを問わず、誰かを傷つける時は攻撃のアクションを取る。たとえば対象を攻撃する目的で、剣を振り下ろす、ブラスター・ライフルを撃つ、けちょんけちょんにののしるといった場合だ (詳細は「ダメージ・負荷・悪影響」で説明するが、ひどく傷ついたキャラクターはシーンから退場することになるという点が重要)。攻撃の対象は、攻撃を阻む防衛のアクションを実施する機会を得る。

  • 失敗の場合: 攻撃はうまくいかない。剣は受け流され、射撃の狙いは外れ、相手を侮辱しても笑われて終わる。
  • 引き分けの場合: 攻撃が足りずダメージを与えることはできないが、ブーストを1つ得る。
  • 成功の場合: 攻撃に成功してダメージを与えられる。「ダメージ・負荷・悪影響」を参照。
  • 会心の成功の場合: 攻撃が成功しターゲットにダメージを与える。その際に、与えるダメージを1軽減してブーストを1つ得てもよい。

防衛

これまでに紹介した3つのアクションを誰かが実施するのを積極的に阻む時に防衛を使う。相手の剣を受け流す、倒れまいと踏みとどまる、ドアをふさぐ、といった状況だ。多くの場合、他キャラクターのターンで、彼らが“攻撃”、“克服”、“優位を作る“などのアクションを行なう際の対抗するアクションとして実施する。なんらかの非攻撃的なアクションへ対抗したり、自分以外に対する攻撃を防御するためにダイスをロールすることもできるが、その場合は自分にそれが可能な理由を説明する。卓を囲む人の大半が納得する理由であれば通常は問題ないが、関連する状況アスペクトを説明して理由づけることもできる。自分以外に対する攻撃を防御した場合、何らかの悪い結果が起これば、その対象はあなたになる。

  • 失敗の場合: 相手の成功が引き起こす結果を被る。
  • 引き分けまたは成功の場合: そこまで不利な状況にはならない。相手のアクションの描写をよく調べて、何が起こるのか確認する。
  • 会心の成功の場合: 相手は望んでいた結果を得られず、あなたはブーストを1つ得る。

支援

味方のアクションを助けることができる。他のキャラクターを助ける場合、自身のアクションを実施しない代わりに、どのようにして支援するかを説明する。支援を得るキャラクターは、助けてくれる味方の数ごとにロールに+1を得る。通常このやり方で、互いに足を引っ張ることなく、他のキャラクターを支援できるのは1~2人のみであるが、実際にどれだけの人数が1度に支援できるかはGMが決定する。

アプローチを選ぼう

「あなたは『何』になる?」で述べたように、アクションに用いることができるアプローチが6種類ある。これは、あなたがどんなやり方で行動を実行するかを表すものだ。

  • かしこさ: かしこいアクションとは、機転を利かせたり、複雑に絡み合う要因を考察したり、問題を解決したりすることだ。たとえば敵剣士の流派の隙を見破る、要塞の城壁の弱点を見つける、コンピューターを修理するなどといった場合にこのアプローチを用いる。
  • かっこよさ: かっこいいアクションとは、人の注目を浴びるような派手で大胆な行動だ。たとえば自分の軍隊を演説で鼓舞したり、剣技の対決で華麗な技で敵をまごつかせたり、魔法の花火で人を感嘆させるなどだ。
  • すばやさ: すばやいアクションとは、俊敏で器用な動きが要求される行動だ。矢を回避したり、先手の一撃を食らわせたり、3.2.1とカウントダウンする時限爆弾が爆発する前に解除するなどだ。
  • ずるさ: ずるいアクションとは、隠密に行動したり、相手の注意をそらしたり、騙したりすること。たとえば逮捕されそうなところを口車で乗り切ったり、スリを行ったり、剣の戦いでフェイントをかけるなどだ。
  • 力づよさ: 力づよいアクションでは、繊細な駆け引きではなく、対象を圧倒する純粋な力に訴える。たとえば熊と組み合ったり、ならず者を眼力で威圧したり、強力な呪文を放つなどだ。
  • 注意深さ: 注意深いアクションとは、細かいところにまで目を配り、時間をかけて正確にやり遂げるような行動だ。たとえば遠くの標的にしっかりと狙いを定めて矢を放ったり、集中して見張りに立ったり、銀行の警報システムを慎重に解除するといったアクションに、このアプローチを用いる。

キャラクターには各アプローチに+0から+3までのボーナス値が割り当てられている。プレイ中にあなたのPCが取るアクションを説明したなら、その行動がどの程度うまくいったのかを判定するためにダイスをロールし、該当するアプローチのボーナス値を足し合わせる。

こう聞くと、「なら、いつもボーナス値が高くなるアクションを選べばいいんだね」と思うだろう? でも、そうとは限らない。ここで選ぶアプローチはあくまで、自分の説明したアクションに合うものでなくてはならない。そして、意味の通らないアクションはできない。たとえば、暗い部屋の中を忍び足で抜ける時に”力づよく”やることができるかな? それは”ずるく”やることだ。または、馬車の道をふさいでいる岩を、”すばやく”押し転がすことができるだろうか? それは”力づよく”やることだ。使うことのできるアプローチはその時々の状況によって変わってくるから、時には自分の長所ではないアプローチも使うことになる。

ダイスをロールして、ボーナス値を加える

さあ、ダイスをロールしてみよう。そしてあなたの選んだアプローチに該当するボーナス値を、ダイスの結果に足し合わせる。この状況に適用できるスタントがある場合は、それも合計しよう。それからその合計値を、相手の合計値と比べる (たいていの場合、GMが相手役を務める)。

ロール結果に修正を加えるか決める

最後に、アスペクトを発動してダイスに修正を加えるかどうか決めよう。これについては、「アスペクトとフェイト・ポイント」にて詳しく説明する。

▲ LocJAM RPG - コンテスト範囲ここまで (4,798ワード)

試練・競争・対決

さて、ここまでで4つのアクション (優位を作る、克服、攻撃、防衛) とその4つの結果 (失敗、引き分け、成功、会心の成功) が出てきたが、これらはどのような枠組みの中で用いるのだろうか。

もし、プレイヤーが今対面している問題が比較的単純な構造である場合――たとえば荒れた川を泳いで渡る、誰かの携帯電話をハッキングするなどといった場合は、単発の行動で解決可能だ。GMの設定した難易度に対して”克服”アクションを行い、ロール結果を判断すればいい。

しかし、冒険の中には、もっと複雑な状況も存在する。そういった場合は、以下のような枠組みを用いて解決していく。

試練

試練とは、”優位を作る”や”克服”のアクションを連続して行ない、とても複雑な状況を解決するやりかただ。それぞれの克服アクションにより課題1つや状況の一部を解決し、個々の結果を総合して、どのように問題が解決されたかを見出すのである。

試練の設定時に、その局面に含まれるタスクや中間目標にどのようなものがあるかを考えよう。そのそれぞれを、別個の克服ロールとして扱っていく。

状況によって、1人のキャラクターが複数のロールを行う必要のある場合もあれば、複数のキャラクターがロールに参加できる場合もありうる。なお、GMはその試練にどのようなステップが待ち受けているのかを、先に明かす必要はない。また、GMは試練の展開に合わせて各ステップの内容を調整し、常に緊迫感を保つようにしよう。

たとえば海で嵐に巻き込まれた船乗りのPCたちが、天候にさからって突き進むことを選んだとしよう。その結果には、いくつもの要素が絡んでくるため、GMはこれを試練として扱うことを告げた。

この場合の試練を解決する手順としては、

1. 壊れた索具を修理する
2. パニックになった乗客たちをなだめる
3. 船の針路を正しい方角に保つ

などといったタスクが考えられる。

(訳注: 試練の結果どうなったかは、各アクションの結果を総合して決めていく。たとえば嵐の例では、修理に失敗した場合、船が沈んでしまうかもしれない。沈没する船から脱出する際に、乗客がパニックを起こしていた場合は、救命ボートに乗り遅れる人が出てくるという展開となるかもしれない。逆に修理には成功したが、進路を保てなかった場合は、漂流してしまい、無人島に流れ着くかもしれない。そして索具が壊れていたならば、無人島で修理する材料を探すという展開になるのかもしれない。)

競争

冒険の中には、複数のキャラクターが直接傷つけ合おうとしているわけではないが、同じ目標をめぐって競い合うような状況がある。こういった状況を競争と言う。たとえばカーチェイスや、大勢の前での討論、アーチェリーのトーナメントなどだ。

競争では、応酬と呼ばれるステップを繰り返す。各応酬では、競争者たちそれぞれが”克服”アクションを1回行い、競争の中のそのステップをどの程度上手にこなせたのかを判定する。お互いのロール結果を比べよう。

一番高い値を出した者が、その応酬に勝つ。応酬に1回勝ったことをメモし、自分のキャラクターがどう優位に立つのかを説明しよう。会心の成功をした場合は、応酬に2回勝ったものとして数える。

ロールが引き分けの場合、どのキャラクターも勝ちを得ず、その代わりに何か予期しなかった展開が起き、競争にひねりが加わる。これには状況によっていくつかのケースが考えられる。たとえば、何かしら地形や環境が変化したり、競争の枠組そのものが変化したり、不確定要素が想像以上となって、その影響が参加者全体に及んだりするのである。

(以下は訳者による例の紹介)
・地形や環境に何らかの変化が起きる。たとえば車に乗って逃亡中の犯人をバイクで追っている時に、雨が降りはじめて路面が滑りやすくなってしまう、といった場合だ。
・競争の前提や条件が変わる。たとえば海賊を目指す少年が酒場で出会った航海士に対し、お互いの持つ宝の地図の断片を賭けてダンスバトルをしようと挑んだ際に、踊りながら近くにいたゴリラのような巨体の船乗りにぶつかってしまい、ギロッと睨まれてどうしようか迷っていたところ、「おう、面白そうなことをしているじゃねえか。俺も混ぜろや!」と言われ、三つ巴のダンスバトルになってしまう、などといった場合だ。
・参加者全員に影響を与えるような、予期していなかった要素が加わる。犯人を追う例で言えば、突如として地震が発生したり、多重交通事故に両方が巻き込まれて、逃亡犯も自分もまずは無事を確保しなければならなくなるなど、まったく予想が付かないできごとにより全員がしっちゃかめっちゃかになるような場合だ。

GMはその新たな要素を表す状況アスペクトを考えて、ゲームに導入する。

応酬に先に3回勝利した者が、競争の勝者となる。

対決

対決は、キャラクターたちが互いに危害を加えようとするような場面に用いる。剣術の勝負、魔術師の決闘、レーザーブラスターでの銃撃戦など、物理的な被害を与えあう場合もあれば、罵倒合戦、手厳しい尋問、魔法による精神攻撃など、精神的な被害の場合もありうる。

状況の設定

まずは状況を明確にしよう。どのような環境で、どのようなことが起きているのだろうか。対決の相手は誰で、それぞれの居場所はどこなのか。GMはそういったことを表す”状況アスペクト”を、付箋や情報カードなどにいくつか書き、テーブルに置く (訳注:”揺れる吊橋”、”立ち並ぶ本棚”、”強風”、”壁に定間隔の松明”などといったものである)。プレイヤーからも、そういった状況アスペクトをいくつかGMに提案していい。

また、GMはゾーンをいくつか設定する。ゾーンとはその場所にある大まかなエリアのことで、キャラクターたちの位置を把握するために使う。必要ならば、手早く地図を描こう。ゾーンを区切る際には、シーンの内容と以下のガイドラインに基づくこと。

各キャラクターは、基本的に自分と同じゾーンのキャラクターに対してのみ、働きかけることができる。ただし、飛び道具や呪文を使えるなど、遠距離からでも行動を仕掛けることができる理由があれば、付近の別のゾーンにいるキャラクターに対しても行動を起こすことができる。

隣のゾーンへの移動ならば、アクションを消費せずに行うことができる。ただし、移動を妨害しようとしている者がいたり、途中に障害物がある場合は、1つのアクションを使用する必要がある。また、2つ以上のゾーンを移動する場合も、アクションを使用する。場合によっては、ゾーンを図示する簡単な地図を描くことも便利だ。

30秒でわかる対決

  1. シーンの状況を設定する。
  2. ターン順序を決定する。
  3. 最初の応酬を開始する。
  4. 自分のターン時にアクションを行う。
  5. 他のキャラクターのターンでは、防衛や、必要に応じて相手のアクションに反応する。
  6. 全員のターンが終了したら、新たな応酬を開始するか、対決を終了する。

たとえば、住宅の中にいるキャラクターたちを強盗たちが襲ってきたとする。GMは居間、台所、縁側、庭という並びでゾーンを設定した。同じゾーンのキャラクター同士はお互いを殴ることができる。居間にいるなら、隣のゾーンである台所にいる人に物を投げつけたり、アクションを消費せずに移動したりできる (戸口が塞がれていなければ)。一方で居間から縁側や庭に移動するには、 (訳注:2つ以上のゾーンを移動しているので) アクションを消費する必要がある。一方で居間から縁側を通って庭に移動するには、アクションを消費する必要がある。

ターン順序の決定

対決の中であなたのキャラクターのターンがどの順序で巡ってくるかは、あなたのキャラクターのアプローチに基づいて決まる。身体的な対決の場合は、反応速度を表す”すばやさ”でターンを得る順序が決まる。対決に参加するキャラクターたちのすばやさを比べ、最も高い者から順番にアクションを取っていく。一方で精神的な対決の場合は、”注意深さ”を比べ合う。小さな変化に気づく者ほど先を制することができるということだ。なお、複数のキャラクターのアプローチ値が同じ場合は、何らかの理にかなった基準を考え、そのキャラクターのアクションの順序を決定しよう。この際、最終的な判断はGMが下す。

GMにとって一番簡単なのは、あなたにとって行動順が最もちょうどよくなるNPCを選び、そのターン順序をGMの行動するターンとして、他のNPCも全員、そのターンに行動させるというやり方だ。しかし、NPCごとに個別に順序を決めた方がよい理由があれば、そうしてもまったく構わない。

応酬

キャラクターたちは順番にターンを得ると、前述の4つのアクションの1つを取ることができる。そのアクションを解決し、結果を判定する。そして戦えるキャラクターが一方の陣営にしか残っていない状態になると、対決は終了する。

ダメージ・負荷・悪影響

攻撃がヒットしてダメージを受ける時、攻撃ロール結果と防衛ロール結果の差がその威力となり、シフトという指標で計る。たとえば、相手の攻撃が+5であなたの防衛が+3の場合、相手の攻撃は2点のヒットとなる (5 - 3 = 2)。

そして、下記のいずれかになる。

  • 負荷と悪影響の片方もしくは両方を得るが、戦闘を続ける。
  • 退場になる。しばらくアクションを実行できない。

30秒でわかる負荷と悪影響

  • 各キャラクターは最初に負荷ボックスを3つ持っている。
  • ヒットの威力 (どれだけシフトするか)
    = 攻撃ロール結果 - 防衛ロール結果
  • ヒットを受けたら、どのようにダメージを受けるかを説明しなければならない。ダメージを緩和する方法の1つは、負荷を受けることだ。負荷ボックスを1つ選んでチェックを入れて、ヒットを処理しよう。ヒットの一部でも全部でも、チェックを入れるボックスの番号に等しい点数を緩和できる (ボックス1 = 1点、ボックス2 = 2点、ボックス3 = 3点)。
  • また、悪影響を受けることで、ダメージを緩和することもできる。1つ以上の悪影響スロットに印を付けて、そこに新しいアスペクトを書く (軽度の悪影響 = 2点、中程度 = 4点、重度 = 6点に相当)。
  • そのヒットのダメージを完全に処理できない場合 (もしくは処理しないと決めた場合)、退場になる。その時キャラクターに何が起こるのかは、相手が決める。
  • 相手がロールするより前に降参すれば、どのようにそのシーンから脱け出すかを自分で決めることができる。さらに、フェイト・ポイントを1点以上獲得できる!
  • 負荷と軽度の悪影響は、そのシーン終了時にもし休息する機会があれば、消える。中度と重度の悪影響は消えるまでに時間がかかる。

負荷とは?

ヒットを受けはしたが退場したくない場合は、”負荷”を被ることを選べる。

負荷が表すのは、疲れた、いらだった、軽い傷を負ったなど、すぐに解決する状態だ。

キャラクターシートの負荷欄には、3つのボックスが並んでいる。ボックスごとに、受け止めることのできる負荷の量は異なる。ボックス1は1点、ボックス2は2点、ボックス3は3点までの負荷を受け止められる。ヒットを受けた際は、このボックスの1つを選んでチェックを入れることで、その負荷を受け止めることができる。

1回のヒットでチェックを入れられる負荷ボックスは1つだけだが、不足分を補うために、”悪影響”を1つあるいは複数、設定することができる。なお、すでにチェックの印が付いた負荷ボックスは当然使えない。

悪影響とは?

悪影響とは、身体または精神が何らかの大きな傷を負ったことを表すために、キャラクターに追加するアスペクトだ。キャラクターシートには3つのスロットがあり、そこに悪影響を書く。それぞれ、2 (軽度の悪影響)、4 (中程度の悪影響)、6 (重度の悪影響) と分類されている。この数字は、その悪影響が緩和できる点の数を表す。1回のヒットに対して、1つでも複数でも、好きな数の悪影響スロットに印を付けられるが、スロットが空いている場合に限られる。すでに中程度の悪影響スロットが埋まっている場合、どうにかしてそれを消すまで、同じ中程度の悪影響を記入することはできない。

悪影響の大きなデメリットは、そのひとつひとつが、相手があなたに対して発動しうる新しいアスペクトになるということだ。悪影響を得るほど、もろくて弱くなる。状況アスペクトと同じように、アスペクトを作ったキャラクター (この場合、攻撃に成功した側) は、その悪影響をフェイト・ポイントを消費することなく1回発動できる。その時、味方の1人に発動権をノーコストのまま譲ることもできる。

仮にプレイヤーが強烈な一撃を受けて、それが4点だったとする。負荷欄のボックス2にチェックを入れたとしても、まだ2点が残る。処理できない場合は退場になるので、悪影響をうまく使おう。2 (軽度の悪影響) のスロットに新しいアスペクトを追加すればよい。たとえば、足首の捻挫だ。こうすれば残った2点が処理され、戦闘を続行できる!

負荷ボックスにチェックを入れるか、悪影響を得るか、もしくはその両方か――それでもダメージの点を緩和しきれない場合は、退場になる。

退場になったらどうなる?

退場になった場合、そのシーンではもうアクションを起こすことができない。キャラクターを退場させる人が、そのキャラクターに何が起こるのかを、言葉で説明する。恥ずかしくて部屋から出て行ったのか、それとも倒れて気絶しているのかなど、退場の仕方に基づいてつじつまの合う説明をしなければならない。

譲歩する

状況が厳しそうなら、譲歩できる (戦いの場合は降参だ)――ただし、相手がダイスをロールする前に、そうするということを言わなければならない。

譲歩は、退場になるのとは違って、どうなるのかを本人が説明できる。相手はそこであなたに対して何かしら大きく有利になる――状況に対して筋の通る話を考える――が、降参する側は、退場になって何も言えなくなる状況を打破できる。

さらに、降参するとフェイト・ポイントを1獲得する。さらに、その対決で得た悪影響1つごとにフェイト・ポイントを1獲得する。「今回はそちらの勝ちだが、次はこうはいかないぞ!」と言って、その言葉を裏付けるだけのフェイト・ポイントを大量に得るチャンスだ。

回復する――負荷や悪影響の治癒

各シーン終了時に、すべての負荷ボックスを空白にして回復する。一方、悪影響からの回復はもう少し複雑だ。その悪影響からどのように回復するのか説明しなければならない――救急救命室に行くのか、散歩をして気分を落ち着けるのか。つまり、その悪影響に対して筋の通る説明が必要だ。また、適度な長さの時間待たなければならない。

  • 軽度の悪影響: 休息の機会があれば、シーン終了時に消える。
  • 中程度の悪影響: ストーリーの枠内で筋が通るなら、次のセッション終了時に消える。
  • 重度の悪影響: ストーリーの枠内で筋が通るなら、シナリオ終了時に消える。

中程度および重度の悪影響の変更

中程度と重度の悪影響はしばらく残る。時々、ストーリーに合うようにアスペクトの名前を変更しよう。たとえば、治療を受けたあとなら、”ひどい骨折”を”松葉杖で歩く”に変えた方がいいだろう。

アスペクトとフェイト・ポイント

アスペクトとは、人や場所、物、状況、グループといった要素の特徴をキーワードや短いフレーズ、文章で表したものだ。想像しうるほとんどのものには、アスペクトを設定することができる。人のアスペクトであれば雲海に住む偉大な女剣士、状況のアスペクトであればオイルランプを倒して部屋が火事になった、という具合だ。タイムトラベルをして恐竜と出会ったら、恐怖で足がすくんでしまうかも。あなたのキャラクターの性分やスキル、抱えている問題を表すアスペクトを通して、ストーリーに変化を与えることができる。

アスペクトの力を解き放ち自分に有利に使うには、フェイト・ポイントを消費する。ポイントはコインやビーズ、ポーカーチップといったトークンで管理する。キャラクターのアスペクトを使って自分にとって困難な状況に仕向けたり、複雑な状況を作り出したりすることで、フェイト・ポイントを獲得できる。セッション終了時に残っているフェイト・ポイントの数は、記録を取っておく。もしリフレッシュの値を上回るフェイト・ポイントを獲得した場合は、セッションを終えた際の値で次のセッションを始めることになる。

たとえば、あなたがセッションでフェイト・ポイントを5獲得したとする。リフレッシュが2の場合、次回のセッションでのフェイト・ポイントは5から始まる。また別のプレイヤーがフェイト・ポイントを残り1で終えた場合、彼のリフレッシュが3であれば、次回のフェイト・ポイントは3から始まることになる。

アスペクトの種類

アスペクトの種類を挙げるときりがないが、それをどう呼ぶかに関わらず、すべてがほぼ同様に機能する。主な違いは、消えてしまうまでの期間だ。

キャラクターのアスペクト

このアスペクトは、”主要コンセプト”と”トラブルのタネ”のように、キャラクターシートに記される。性格、過去の大きな出来事、他者との関係性、大事な持ち物、肩書き、抱えている問題、目指す目標、評判や義務といったものだ。このようなキャラクターにとって重要なアスペクトは、限られた状況を除いてほとんど変化しない。

例: 「飛行船<ニンバス号>の船長」、「騎士団から逃走中」、「細かいことに気がつく」、「弟を守ってやらなきゃ」

状況アスペクト

これらはアクションが行われている環境を表すもので、”優位を作る”アクションによって作るアスペクト、もしくは発見するアスペクトも含まれる。状況アスペクトは通常、そのシーンを終えるか、誰かがその要素を変更するか取り除くような行動を実行すると、消滅する。つまり基本的には、その状況アスペクトが表す要素が続く限りは残り続けるものだ。

例: 「体に火がつく」、「まばゆい陽射し」、「怒れる群衆」、「地面に叩きつけられる」

状況アスペクトを消滅させるには、筋が通る範囲で自分のキャラクターが実現可能な、状況を変えたり覆したりする”克服”のアクションを試みる。たとえば、荒れ狂う炎にバケツで水をかける、追尾してくる戦闘機から回避行動を取るなどだ。その際に相手は、妥当な理由を説明できるのであれば、”防衛”のアクションを試みてその状況アスペクトを維持しようとしてもよい。

悪影響

これらのアスペクトは、攻撃を受けた時に起こるケガや、その他のすぐには消えない傷を表すもので、「ダメージ・負荷・悪影響」で説明したようにゆるやかに消えていくものだ。

例: 「足首の捻挫」、「クモへの恐怖」、「脳震盪」、「自信の喪失」

ブースト

ブーストは一時的なアスペクトで、一度だけ使用された後、消えるアスペクトだ (詳細は次項の「アスペクトの使い方」を参照)。使用されていないブーストは、それが作られたシーンが終わった時、またはその優位性がなりたたなくなった時に消失する。これらは対決の中で発生する、非常に短期間で解消しうる優位を表す。

例: 「視界に捉える」、「気を取られている」、「不安定な足場」、「彼のブーツに石が入る」

Strange Mysteries #12 Art by:Ross Andru/Mike Esposito/ https://digitalcomicmuseum.com/index.php?dlid=11882

アスペクトの使い方

あなたがアスペクトによって行えることは3つある。アスペクトの発動、アスペクトの強制、事実の確定だ。

アスペクトの発動

アスペクトを発動すると、恩恵を得たり、相手を阻害したりできる。自ら発動できるアスペクトの条件は2つ。a) すでに知っていることと、b) それが自分にとってどのように役に立つのかを説明できることだ。この条件を満たせば、他キャラクターのアスペクトやその状況にあるアスペクトも含めて、いかなるアスペクトでも利用できる。通常、アスペクトの発動にはフェイト・ポイントを1消費する。GMにフェイト・ポイント用トークンを1つ渡そう。アスペクトを発動する時は、現在の状況に対してそのアスペクトがどのように自分の行動を利するのかを説明する必要がある。

  • ゾンビを自分の剣で攻撃する。ゾンビは”動きが遅い”から、剣で対抗できるはずだ。
  • この男を怖がらせたい。彼は”ネズミが怖い”らしいから、彼の寝室にネズミを放ってみる。
  • 衛兵の”気がそれている”。すぐ脇を通って忍び込めるはずだ。
  • 強力な呪文が必要だ。”古から続く結社の大魔術師”である私には、お手の物だ。

PVP

フェイト・ポイント用トークンをGMに渡さない場合もある。自分以外のプレイヤーと対決する時だ。このような対立で相手のキャラクターのアスペクトを発動して、自分に有利になるように利用した場合、シーンの終了後に、GMではなく対立した相手にフェイト・ポイント用トークンを渡す。

アスペクトを発動したら、次の効果のうち、いずれか1つを選ぼう。

  • 合計値に+2のボーナスを得る。この場合、フェイト・ポイントを1消費する。
  • ダイスをリロール (ダイスを振り直す) を行う。これは、ロール結果がひどく悪い (合計が-3や-4になる) 場合に最適な選択だ。この場合も、フェイト・ポイントを1消費する。
  • アスペクトを利用して相手に立ち向かう。相手が何か仕掛けようとしていて、既存のアスペクトを使えばそれを妨害できそうな場合には、これを選択しよう。たとえば、こちらにブラスター・ピストルを向けようとする異星人の悪党が、宇宙ゴミに埋もれているというアスペクトを持っている場合だ。フェイト・ポイントを1消費してそのアスペクトを発動すれば、相手の行動の難易度を2上昇させることができる。
  • アスペクトを利用して味方を助ける。味方に助けが必要そうで、既存のアスペクトにより味方が行動しやすくなるような場合には、これを選択しよう。フェイト・ポイントを1消費してアスペクトを発動すれば、対象の味方はロール結果に+2のボーナス値を得ることができる。

注意: 1度のダイスロールで、1つのアスペクトに対してフェイト・ポイントを複数消費してボーナス値を大きくすることはできない。ただし、1度のダイスロールで複数のアスペクトを発動することは可能だ。

アスペクトを発動してボーナスを得るか、ダイスをリロールする場合、まずはダイスをロールして結果を確認しよう。必要がないのにフェイト・ポイントを消費することを避けられる!

ノーコストでの発動: アスペクトをノーコストで、つまりフェイト・ポイントを消費せずに発動できる時もある。優位を作るアクションでアスペクトを作るか発見するかした場合、自分か味方による初回の発動はノーコストで行える (会心の成功の場合はノーコストで2回発動できる)。攻撃により悪影響を生じさせる場合には、自分か味方がノーコストで1回発動できる。ブーストは特別なアスペクトで、ノーコストで1回発動できるが、発動後は消滅する。

アスペクトの強制

あるアスペクトによる影響でキャラクターの命に関わる問題や面倒事が起きるような状況にある場合、そのアスペクトはいずれのキャラクターからも強制することができる。強制は自分に対して行うこともでき、この場合は自己強制と呼ばれる。強制はプレイヤーがフェイト・ポイントを獲得するための最も一般的な方法だ。

強制には次の2つのタイプがある。

決断強制

このタイプのアスペクトの強制は、キャラクターが決断すべきことを提示する。たとえば、アラリア王国の王女としてプレイしているなら、アラリア王宮が攻撃を受けた時には、さっさと安全な場所に逃げるよりも、王宮に残って衛兵を指揮すべきだろう。あるいは、驚くほど反抗的な性格でプレイしているのであれば、風紀指導担当教官からの異議に反論せずにはいられないはずだ。

イベント強制

このタイプのアスペクトの強制は、あなたの人生に何か面倒が起こることを表したものだ。たとえば、不思議なことを引き寄せる運を持っているキャラクターなら、教室で呪文を練習している時に、陰気な魔法薬学の教授の髪をはからずもオレンジ色に変えてしまうだろう。あるいはドン・ヴァルデオンに借りがある場合、ドンは最悪のタイミングで現れて自分のために一肌脱げと要求するだろう。

どちらの場合でも、アスペクトを強制する相手は、あなたにフェイト・ポイント1ポイントを差し出し、そのアスペクトがもたらす効果について説明する。その効果により、あなたのキャラクターが何らかの決断をしたり、特定の出来事が起こったりするのである。相手と議論を交わして、提案された強制に微調整や変更を願い出ることもできる。その後、強制を受け入れるかどうかを決めよう。受け入れる場合、フェイト・ポイントを1獲得し、あなたのキャラクターが提案された決断を下したり、示された出来事が起こったりする。拒絶する場合、手持ちのフェイト・ポイントを1渡す。つまり、手持ちのフェイト・ポイントがない場合は、強制を拒絶することはできないのだ!

GMが獲得するフェイト・ポイントは?

GMは各NPCのフェイト・ポイントを個別にカウントする必要はないが、ポイントを無制限に使えるわけではない。シーンの開始時に、シーンに登場するPC1人につき1ポイントを用意し、まとめて山にしておこう。PCに対してアスペクト (および悪影響) を発動する時には、この山からフェイト・ポイントを消費する。山がなくなれば、PCに対してアスペクトを発動することはできない。

それでは、この山のフェイト・ポイントを増やしたいなら? プレイヤーがNPCのアスペクトを強制すると、GMがフェイト・ポイントを獲得できる。強制によりシーンが終了したり、NPCが降参したりして、フェイト・ポイントがリセットされる場合は、次のシーンの開始時にGMがそれらの分のフェイト・ポイントを追加で獲得する。

アスペクトの強制と引き換えにフェイト・ポイントが必要な場合、この山のポイントは消費されない。強制時に渡すフェイト・ポイントの残高をGMが気にする必要はない。

事実の確定

アスペクトの最後の役割は、ゲーム中の事実を確定することだ。事実の確定にはフェイト・ポイントを消費したり、ダイスをロールしたりする必要はなく、アスペクトを設定するだけでよい。たとえば、ルディ・ダック号のパイロットというアスペクトを設定すれば、ルディ・ダック号という名の飛行機を操縦するキャラクターを確定したことになる。「緋色の忍び」の宿敵というアスペクトを設定すれば、緋色の忍びという名の忍者集団がいて、何らかの理由でその集団に追われている者というキャラクターを確定できる。「秘識会議」の魔法使いというアスペクトを設定すれば、その世界には「神秘教団」という魔法使い集団が存在することだけでなく、魔法が存在し、それを使うことができるという事実を確定できるのだ。

事実を確定する時は、他のプレイヤーと協力することが肝心だ。魔法の存在しない世界でプレイしたいプレイヤーがたくさんいる中で、自分だけ魔法に関連するアスペクトを一方的に設定することはできない。アスペクトによって事実を確定する場合は、プレイヤー全員にとって楽しいゲームになるようなアスペクトを設定しよう。

「よい」アスペクトを設定する

よいアスペクト (ここでは主にキャラクターのアスペクトと状況アスペクトを想定している) を設定したいなら、次の2つのことに留意しよう。

  • 発動すると、そのアスペクトがあなたにとって、どのように役に立つのか
  • そのアスペクトがあなたに対して強制されたなら、どのようにあなたに不利益をもたらすのか

例:

覚悟しろ、フォン・スタンダール!

  • 発動による利益: フォン・スタンダールと対峙する時に発動することで、勝機を増やす。
  • 強制による不利益: フォン・スタンダール憎さのあまり、彼を捕まえようと愚かな行いをする。これによりフェイト・ポイントを1得られる。

とんでもない神経質

  • 発動による利益: 特に慎重に注意深く行動することが役に立つ時に発動できる。
  • 強制による不利益: 強迫観念によってびくびくしたり、取り乱したりする。これによりフェイト・ポイントを1得られる。

当然、”トラブルのタネ”のアスペクトはトラブルの元になるだろう。だが同時に、キャラクターを生き生きとさせ、フェイト・ポイントを獲得させてくれるものにもなる。つまり、複雑さに欠ける単調なアスペクトがあったとしても構わないが、その際は他のキャラクターアスペクトおよび状況のアスペクトが両義的である方がよい。

スタント

スタントは、各キャラクターの持っている芸当、要領の良さ、技術などのことで、アプローチの効果を左右する。通常、スタントを使うと特定の状況においてボーナス値を得ることができるが、何か別の能力や特徴を得られる場合もある。また、スタントは、あなただけが使える、特別だったり、高品質だったり、一風変わったりしている装備品であっても構わない。キャラクターはいつもそれを駆使して、他のキャラクターよりも優位に立つことができる。

スタントについて、指標となるリストのようなものは存在しない。アスペクトと同様に、それぞれがオリジナルのスタントを作りあげることになる。スタントを作る時に基本となる2つのテンプレートを以下で紹介する。これに沿って内容を決めていけば、使いやすいものになるだろう。

1種類目のスタントは、特定の状況で特定のアプローチを使用した時に+2のボーナスを得ることができるというもの。以下のテンプレートに合わせてスタントを考えてみよう。

私は、[スタントの説明: 並外れた特徴/決め球となるような持ち物/その他の優れている点などを描写する] (なの/の) を活かして、
[場面の説明: どんな場面か描写する]状況で、
[アプローチを1つ選ぶ: かしこく/かっこよく/すばやく/ずるく/力づよく/注意深く]
[アクションを1つ選ぶ: 攻撃する/防御する/優位を作る/克服する]時に+2のボーナスを得ることができる。

例:

  • 口が達者なのを活かして、人と会話している状況で、ずるく、優位を作る時に+2のボーナスを得ることができる。
  • パズル愛好家なのを活かして、パズルやなぞなぞなどの謎解きをしなくてはいけない状況で、かしこく、問題を克服する時に+2のボーナスを得ることができる。
  • 世界中に名をはせている決闘の名手であるのを活かして、1対1で剣を交える状況で、かっこよく、攻撃する時に+2のボーナスを得ることができる。
  • 大きなカイト・シールドを持っているのを活かして、白兵戦で盾を使う状況で、力づよく、防衛する時に+2のボーナスを得ることができる。

非常に限定的な場面・状況ならば、”優位を作る”と”克服”のアクションの両方にそのスタントを適用してもよい。

2種類目のスタントは、何かが事実であるとしたい時や、ここぞとばかりにクールなことをしたい時、あるいは、何らかの方法で通常のルール処理を無視する時などに使うことができる。以下のテンプレートを使用できる。

私は、[スタントの説明: 並外れた特徴/決め球となるような持ち物/その他の優れている点などを描写する] (なの/の) を活かして、
セッション中に1回だけ[キャラクターのできる何か切り札となることを描写する]をすることができる。

例:

  • 人脈が広いのを活かして、セッション中に1回だけ必要なタイミングで助けてくれる仲間を見つけることができる。
  • 瞬発力の高さを活かして、セッション中に1回だけ物理的な争いごとにおいて先手を取るかどうかを選ぶことができる。
  • チーターにだってアクビしながら勝てるくらい足が速いのを活かして、セッション中に1回だけ、たとえ自分がどこにいたとしても、そこが走ってゆけるところならば、どこにだって好きなように登場することができる。

これらのテンプレートはあくまでスタント作成の参考になるように用意したものである。何かよいアイデアが浮かんだのならば、このテンプレートに縛られず自由にスタントを考えよう。スタントの作成に関してさらに詳しく知りたい場合は、『Fate Core』の「Skills and Stunts (スキルとスタント)」を参照。

人は誰しも進化する: キャラクターの成長

変化は誰にでも訪れるものだ。技術は使えば使うほど伸びる。過去の経験の蓄積によって人格は形成される。『アドベンチャーズ・フロム・アナザーワールド』ではキャラクターの成長という形でそのような変化を再現する。キャラクターが成長すると、アスペクトの変更やスタントの追加・変更を行ったり、アプローチのボーナス値を上昇させたりできる。キャラクターの成長はある特定のマイルストーンに到達した時に実行することが可能だ。

マイルストーン

連続ドラマ、マンガ、映画、それにゲームですら、それぞれのストーリーは、1つの話から次の話へと、そして、1つのシーズンから次のシーズンへと語り継がれてゆく。『指輪物語』でフロドが燃え盛る山に指輪を捨てに行くのには、分厚い本3冊もの話を要した。『アバター 伝説の少年アン』で主人公が火の王を倒すまでには、シーズンを3つもまたがなければいけなかった。ここまで言えばピンとくるだろう。そう、AAWでも、このようなストーリーを語ることができる。プレイヤーが同じキャラクターを使って数々のセッションを続けて遊ぶ (いわゆるキャンペーン) ことで、自然とストーリーが作りあげられていくのだ。そしてそのような長いストーリーの中には、起承転結が短く描かれるストーリーのまとまりが存在する。連続ドラマであれば複数回にまたがるエピソード1つ、マンガであれば「○○編」のように、全体よりは短いストーリーが語られて、そして締めくくられる。AAWでも同様のしくみで、長いキャンペーンの中に、まとまりで区切りをつけることができる。

そのような区切りをマイルストーンと呼ぶ。マイルストーンは、短いストーリーによる小さな区切りでも、複数のセッションの締めくくりとなるような壮大な区切りでもよい。AAWでは3種類のマイルストーンが用意されている。それぞれのマイルストーンにおいて、プレイヤーはキャラクターを何らかの形で変化させることができる。

小さなマイルストーン

小さなマイルストーンは通常、セッション終了時や、1つのストーリーに決着がついた時に発生する。 このマイルストーンは、キャラクターを強化するというよりは、変化させるものであり、必要に応じて、ストーリーの中で起きていることに合わせて調整を行う。小さなマイルストーンを利用しても実質的な意味がない場合もあるが、あなたが必要とする時には、常に利用できる。

小さなマイルストーンを迎えると、プレイヤーは以下のうち1つだけを選ぶことができる。

  • 任意のアプローチ2つの格付けを入れ替える
  • 主要コンセプト以外のアスペクト1つを変更する。
  • スタント1つを別のスタント1つと入れ替える。
  • 新しいスタントを1つ選ぶ (すでにスタントを3つ持っている場合は、リフレッシュの値も調整する)。

さらに、中程度の悪影響を抱えている場合、2セッション経過しているかどうかを確認する。経過している場合は、その中程度の悪影響を消すことができる。

重要なマイルストーン

重要なマイルストーンは通常、シナリオ終了時やプロット上での大きなイベントの結末として発生する (タイミングがわからない場合は、2~3セッションが終わるごとに行う)。小さなマイルストーンは主に変化を扱うものであったが、重要なマイルストーンでは新しい事柄の習得を扱う。問題を解決したり試練を乗り越えたりすることで、キャラクターはより多くのことをできるようになるのだ。

小さなマイルストーンの特典1つに加えて、さらに以下の2つの特典を両方とも得ることができる。

  • 重度の悪影響1つを受けてから2セッション以上経過している場合、消すことができる。
  • アプローチを1つ選び、ボーナス値を+1する。

大きなマイルストーン

大きなマイルストーンは通常、キャンペーン中にそのキャンペーンを大きく揺るがすような事態が起きた時のみ発生する。たとえば、大規模な物語が結末を迎える時、主要な悪役NPCを最終的にやっつけた時、あるいは、何か別のそのゲーム世界を揺るがす大変動が起きた時などである。

こうした大きなマイルストーンを乗り越えたキャラクターたちは、より大きな力を得る。もはやこれまでのような挑戦では、彼らの脅威とはならない。今後の敵はさらに腕がたち、統率が取れていて、なによりも強大なキャラクターたちに立ち向かう覚悟のあるものでなければならないだろう。

大規模なマイルストーンを達成すると、小さなマイルストーンと重要なマイルストーンの両方の特典を得るだけでなく、以下の特典もすべて得ることができる。

  • リフレッシュの値に+1する。なお、必要であれば、この1ポイントをその場で使いスタントを1つ獲得してもよい。
  • 主要コンセプトを変更する (任意)。
Doll Man #24 Art by: Dan Zolnerowich https://digitalcomicmuseum.com/index.php?dlid=16287

アプローチのボーナス値の上限

アプローチのボーナス値を上げる時に、覚えておかなくてはならないルールが1つある。それは、ボーナス値の上限が+5 (格付け表のAAA) だということだ。すなわち、ボーナス値は+5までしか上昇させられない。

GMになる

GMにはやることがたくさんある。対決についてプレイヤーに説明したり、NPCを操作したり、ゲームのシチュエーションに合わせて全員がルールを適用できるように手助けをしたりする。

GMの仕事について説明しよう。

キャンペーンを作るのを助ける

キャンペーンとは、同一のキャラクターを使ってプレイし続ける一連のゲームを指し、前のセッションで起きたことの上にストーリーを積み重ねていく。キャンペーンをどのように進めていくかを計画するには、すべてのプレイヤーが、GMと協力する必要がある。それは、各自がどんなヒーローを演じたいのか、どんな世界に住んでいるのか、どんな悪者と出会うのかを決める会話の形を取ることが多い。どれくらいシリアスなゲームにしたいのか、どれくらい長く続けるのかを話し合おう。

  • 飛行船に乗るスカイ・パイレーツのネコ人種で、捕らえようとしてくる帝国海軍からいつも逃げている。
  • 魔力を持つ砂漠の町の住人で、邪悪な鋼の帝国からの侵略者に立ち向かっている。
  • 魔法使い見習いのための寄宿学校の生徒が、謎を解明し、由緒ある学校の秘密を暴露する。

GMになる方法を学ぶ

GMになりゲームを進行させることは、初めは手を出しにくくて難しいと思うかもしれない。だが習得するには練習が必要なスキルだから、心配しなくても大丈夫。やればやるほど上達するだろう。もしFateシリーズにおけるGMになるコツについてもっと知りたいなら、『Fate Core』のルールにいくつか章があるので調べてみてほしい。「Running the Game (ゲームの運用)」、「Scenes, Sessions, & Scenarios (シーン・セッション・シナリオ)」、「The Long Game (長期間のゲーム)」が特に役立つだろう。『Fate Core』は、www.evilhat.comにて無料で見ることができる。

シナリオを作ってセッションを進行する

シナリオとは1つの短いストーリーのまとまりのことで、たとえば冒険もののテレビ番組であれば1~2話分に該当するような、大きなストーリーの枠組みの中にある小さな区切りである。通常は、1回のプレイに3~4時間かけると想定して、1~3回のセッションで1つのシナリオをまとめる。次はシナリオの中身と作り方を説明しよう。

シナリオ

シナリオに必要なものは2つ。1つは目的を持った悪者。もう1つはPCが悪者を無視できない理由だ。

悪者とその悪者の目的: これについては、おそらくすでに決まっているはずだ。そのキャンペーンの中心的な対立相手、またはその仲間が、悪者になるだろう。

PCが無視できない要素: そしてPCが関心を持つような理由を用意しなければならない。悪役の最終目的は、PCたちと真っ向立ち向かうものにしよう。PCたちが何らかの対応を迫られたり、あるいはPCにとって大事な人や事物に困ったことが起こったりするのである。

セッションの進行

さて、PCが無視できない振る舞いを悪者たちがやり始め、シナリオが動き出す。特に新しくストーリーが展開する、その最初のセッションにおいては、PCたちをアクションに放り込むのが最適であることが多い。ひとたびPCたちが、「なんで自分たちが、起きている事柄について気にかけねばならないのか」を把握したなら、後はもうGMであるあなたは何も邪魔をせず、彼らにまかせておけばいい。

とは言うものの、GMにはセッションを進行するための仕事が次のようにたくさんある。

  • シーンを進行する: 1つのセッションは個別のシーンでなりたっている。シーンが始まる場所、登場するキャラクター、何が起きるのかを決めて、すべての興味深い出来事が起こるタイミングや、シーンが終わる時を決める。
  • ルールについて裁定する: ルールの適用に関して疑問が上がった時に、最終的な決定権を持つ。
  • 行為の難易度を設定する: 行為がどれほどの難しさであるべきなのかを決める。
  • NPCを演じる: どのプレイヤーも自分のキャラクターを演じるが、GMは悪者も含めたすべてのNPCを演じる。
  • 話の勢いを保つ: プレイヤーが次に何をすればいいのか迷っていたら、進めるきっかけを提案しよう。優柔不断な態度や情報不足などでセッションを停滞させないように、何かしら引っかき回そう。
  • 全員に活躍の機会があるように配慮する: GMの目的はプレイヤーを打ち負かすことではなく、彼らに試練を課すことだ。巨大な闇の戦士から小さなコソ泥まで、すべてのPCに1回は活躍する機会が回るようにしよう。

難易度を設定する

PCに別のキャラクターが対抗している場合、相手キャラクターのロール結果が、試練や競争、対決で比べる値となる。しかし具体的な相手がいない場合は、GMが行為の難易度を決める。

低い難易度は、PCに活躍する機会を与えたい時にぴったりだ。難易度をアプローチのボーナスに近い値にすれば、緊張感を持たせながらも太刀打ちはできる程度の困難さを演出できる。高い難易度設定は、非常にひどくて並外れた状態に置かれているかを強調し、キャラクターに全力を出してもらいたい時に適している。

大まかなルール

  • もし行為が非常に難しいということでないのであれば、+0 (格付け表のD) を設定する。もしくは、ロールせずに成功したことをプレイヤーに伝えるだけでよい。
  • 行為が大変な理由が1つでも思いつくのなら、+2 (格付け表のB) を設定する。
  • 行為がとても難しいのなら、+4 (格付け表のAA) を設定する。
  • 行為の遂行がほぼ不可能なら、あなたが適切と判断する範囲で最大限高くする。PCは、行為を遂行するためにフェイト・ポイントを複数消費し、多くの手助けを要することになるが、それで構わない。

任意ルール: アプローチに関連した目標値

”注意深さ”のアプローチを選ぶと、判定がとても簡単になることもあれば、ただ長引かせるだけになってしまうこともある。GMはそのアプローチが状況に適しているか、そうでないかを鑑みて、難易度を1~2の範囲で増減させてよい。ゲームの処理はやや複雑になるが、その手間の価値はあるとするグループもいる。

悪者

悪者を用意するなら、PCとまったく同じように、アプローチ、アスペクト、負荷、悪影響を設定してもよい。PCを本当に苦労させるために作られた、重要な悪者や繰り返し登場する悪者に対してはそうするべきだ。ただしそういった複雑な悪者は、1つのシナリオで1人か2人までにして、それより増やさないようにしよう。

ザコ: その他大勢の悪者はザコと呼ばれる。名前のない悪党やモンスター、ならず者たちだ。PCを少し苦戦させるために存在しているが、強力なPCの手にかかれば、多かれ少なかれ簡単に一掃されるように作られている。ザコの設定を作る方法は以下のとおりだ。

  1. そのザコの得意なことのリストを作ろう。それらの行為のロールにはすべて+2する。
  2. そのザコの苦手なことのリストを作ろう。それらの行為のロールにはすべて-2する。
  3. それ以外の行為のロールはすべて+0。
  4. 1つか2つアスペクトを作ろう。得意や不得意を強調したり、特別な強みや弱みを持っている場合にそれらを表したりする。ザコのアスペクトはかなりシンプルでよい。
  5. そのザコがどの程度タフなのかを考え、その度合いに応じて、負荷欄のボックスをなし、または1個か2個で設定する。
  6. ザコが悪影響を得ることはない。負荷ボックスを使い切った場合 (または元々0の場合)、次のヒットで退場になる。

サイクロプス寮のいじめっ子
[サイクロプス寮の
いじめっ子]
[虎の威を借る狐]

得意 (+2): 他の生徒をビビらせる、責任逃れ、器物損壊

苦手 (-2): 計画的な行動、勉強

負荷: なし (1回ヒットで退場)

鋼の暗殺者
[鋼の暗殺団団員]
[夜は我らのもの]

得意 (+2): 忍び歩き、待ち伏せ

苦手 (-2): 腹をくくった抵抗

負荷:

スカイ・シャーク
[オレ様はサメ]
[柔らかいお腹が弱点]

得意 (+2): 飛行、噛みつき

苦手 (-2): 飛ぶことと噛みつくこと以外のすべて

負荷: ○○

ザコの集団: PCに対抗する弱い悪者が大勢いる場合、悪者たちを1つの集団――もしくはいくつかの小集団として扱って、作業を簡略化できる。12人の悪者の動きを追う代わりに、4人の悪者からなる3つの小集団として処理するとよい。各集団は1人のキャラクターであるかのように行動する。下記のようにキャラクター設定も1人のキャラクターのように用意しよう。

  1. 得意なことを2つほど選ぼう。その1つに”集団で攻撃”を選んでもいいだろう。
  2. 苦手なことを2つほど選ぼう。
  3. アスペクトを1つ作ろう。
  4. 集団の人数2人ごとに、負荷ボックスを1つ作ろう。

ゴロツキの集団
たてつく奴は、手斧の柄とバールでボコボコだぜ!

得意 (+2): 集団で攻撃、一般人を脅す

苦手 (-2): 先を考えて行動する、多勢に無勢で戦う

負荷: ○○ (ゴロツキ4人)

『Fate Core』では、こういった集団をモブ (mobs) と呼んでいて、その扱い方のルールがある。『Fate Core』の「Running the Game (ゲームの運用)」にある「Creating the Opposition (敵を作成する)」を参照。好みに応じて採用しよう。ただし、元となるザコを非常に弱めに設定しなければ、集団にした時に強すぎるモブになってしまうかもしれない。PCに困難な試練を与えたい場合は、それも手段の1つになるだろう。

キャラクター作成例

ここに4つのキャラクターサンプルを用意した。プレイする際にこのまま使うもよし、キャラクター作成時の参考にしてもよし。

レス――アンドラールの反乱者

14歳の少年。深い褐色の肌を持ち、黒い色の髪を太いドレッドヘアに結っている。ゆったりとした軽装に身を包み、サンダルを履いている。非常に腕の立つ武術の使い手。100年に一度の最強の〈太陽の喚び手〉であり、魔力によって炎の力を呼び起こすことができる。広大なアンドラール砂漠の中にある、とある町の出身。友人たちと共に、侵略を続ける〈鋼の帝国〉に抵抗しており、各地を転々としながら逃亡生活を送っている。

主要コンセプト: アンドラール砂漠の太陽の喚び手
トラブルのタネ: 鋼の暗殺団の狙いは我が命
追加のアスペクト: 我、最強のカンフーマスター/アヴァサにぞっこん/セリオが体験したことから学習できる
アプローチ
かしこさ: C ( +1 )
かっこよさ: D ( 0 )
すばやさ: B ( +2 )
ずるさ: C ( +1 )
力づよさ: A ( +3 )
注意深さ: B ( +2 )
スタント
太陽の型・唯我独尊: 我は〈太陽の型〉のたぐいまれなる使い手であることを活かして、格闘戦闘の状況で、力づよく、防衛する時に+2のボーナスを得ることができる。
(リフレッシュを消費せずに、あと2つスタントを選べる)
負荷 ○○○
悪影響
軽度 (2)
中程度 (4)
重度 (6)
リフレッシュ: 3

ヴォルテール

雲上の飛行船<ニャゴラス号>に乗り込み、広大な空をまたにかける船長。ネコ人種で性別は女性、ヒトとネコの混ざった体つきをしている。茶色のロングコート、膝丈のブーツ、羽根かざりつきの帽子、バスケットヒルトの舶刀など、ド派手な海賊風の衣装をまとっている。根がネコのため、隙あらばウトウトするクセが抜けないでいる。

主要コンセプト: 雲上の飛行船<ニャゴラス号>のネコ船長
トラブルのタネ: 「ふにゃーん (あくび)」
追加のアスペクト: んニャ、あれかイ? あれはただのおとりだニャ/腕の立つペテン師マーチンだニャ/サンチェスはたよりにニャる一等航海士だニャ
アプローチ
かしこさ: C ( +1 )
かっこよさ: A ( +3 )
すばやさ: B ( +2 )
ずるさ: B ( +2 )
力づよさ: D ( 0 )
注意深さ: C ( +1 )
スタント
ミャい姫の如き華麗な剣さばき: すンばらしい剣の使い手であることを活かして、1体の敵とお互いに剣を使って戦う状況で、かっこよく、攻撃する時に+2のボーナスを得られるんだニャ。
(リフレッシュを消費せずに、あと2つスタントが選べる)
負荷 ○○○
悪影響
軽度 (2)
中程度 (4)
重度 (6)
リフレッシュ: 3

アビゲイル・ジャオ

魔術学校の生徒で、ヒッポグリフ寮に所属。白い肌に長い黒髪に、ピンク色の髪がひと房まじっている。調子にのって制服を改造し、キラキラのアクセサリーやスタッズベルトを身につけ、学校指定のブラウスやズボン、ネクタイは好き勝手に模様を付けて染めている。魅了魔法が得意。サイクロプス寮の悪童たちに恥をかかせるのが大好きで、考えるより先に行動するタイプ。

主要コンセプト: ヒッポグリフ寮の魅了魔法のスペシャリスト
トラブルのタネ: ヤバそうな奴には即、魔法! 事情なんて後で聞けばいいや!
追加のアスペクト: サイクロプス寮の連中は大ッキライ!/サラはいつでも私の味方/デクスター・フィッツウィリアムは絶対、引きずり落としてやる!
アプローチ
かしこさ: B ( +2 )
かっこよさ: C ( +1 )
すばやさ: C ( +1 )
ずるさ: A ( +3 )
力づよさ: B ( +2 )
注意深さ: D ( 0 )
スタント
先生おねがーい!: アタシは先生のお気に入りなのを活かして、セッション中に1回だけ、そのシーンで助けてくれる先生を呼べるの。
(リフレッシュを消費せずに、あと2つスタントが選べる)
負荷 ○○○
悪影響
軽度 (2)
中程度 (4)
重度 (6)
リフレッシュ: 3

ドクター・ベセスダ・フラッシング

重力・電気機械技術研究機構 (Institute for Gravitical and Electro-Mechanical Advancement)、通称IGEMAに所属する博士であり、試験技術員のリーダー兼フィールド・エージェント。IGEMAは、技術を盗もうとしたり、世界を征服しようとしたり、時にはその両方を企むさまざまな国際組織のエージェントと戦っており、彼女は、所属先不明の謎に包まれたスパイ組織のリーダー、グスタフ・ヴォン・ステンダールからの妨害工作にしばしば悩まされている。ドクター・フラッシングは、鮮やかな赤い髪の女性で、ヘリコプター・パックをはじめ、いつもガジェットを携えている。

主要コンセプト: IGEMA所属フィールド・エージェント主任
トラブルのタネ: 我が宿敵、ステンダール!
追加のアスペクト: 私の発明品は常によく機能する! そう、理論上は常に……/私の教え子たちは、期待に応えてくれる! こちらの期待したやり方とは違うが……/私はアルメイダ博士の天才的な頭脳を信じている
アプローチ
かしこさ: A ( +3 )
かっこよさ: C ( +1 )
すばやさ: C ( +1 )
ずるさ: D ( 0 )
力づよさ: B ( +2 )
注意深さ: B ( +2 )
スタント

ヘリコプター・パック: 私は、実験段階のヘリコプター・パックを活かして、飛行が可能かつ役立つ状況で、すばやく、優位を作るか障害を克服する時に+2のボーナスを得ることができる。
ガジェット使い: 私は、いつもガジェットを開発しているため、セッション中に1回だけ、その状況で特に有効な発明品を持っていることを説明し、状況アスペクトを1つ排除できる。
(リフレッシュを消費せずに、あと1つスタントが選べる)

負荷 ○○○
悪影響
軽度 (2)
中程度 (4)
重度 (6)
リフレッシュ: 3